because
あの人はやっぱり生きていた
祈りを叶えてくださった神様が
私をお忘れにならないこと
あの人はやっぱり帰ってこなかった
ただ帰りを待つ日々に
祈りながら歌っていたこと
あの人を思い出せたこと
何もかも行方を確かめて熱くなり
燃えさしのようになって
何もかも静まった夜半にガラスの器に
昼間分け合おうと作った氷菓子を注ぐ
氷を並べて
銀の匙でつついて
身体に入れてみる
気分が楽になる
身体が氷を悦んでいる
銀の匙とガラスの器と氷が遊ぶのを
視覚が悦んでいる
すべての行方は天に在る なぜなら
食べ終わって銀の匙を寝かせて
ガラスの器と
ほんの少しの残りの氷とを
水に浸けたら
あまりに美しくて清らかで
何も考えなくなった
何も確かめなくなった
その場所を後にして
何もかも消え行く行方
心に微かに残すもの それは
なぜなら