waving
普通に登れたことがなかった坂道
息が切れてどうにも
紺色の制服は
慎ましくてお洒落
鞄も半分潰してみた
長袖のブラウスが
古びたら
ミシンをかけて
七分袖に作りかえた
独りぼっちだった
繁華街に寄り道しながら
休んでみたけれども
胃が下がるとか何とか
自分自身に説明しながら
棚の下のほうを見るふりをして
しゃがみこんでいた
苦しくて
何なんだろう
普通の暮らし
普通の言動
普通の望み
感情がない訳じゃ
なかった
坂道を登る時
風が吹いてきてくれて
顔の筋肉が普通にほぐれた
私はそよ風と名付けた
それが私の親友だった
ずっと信頼していた
大切なものに名付ける時
四文字程度がやっとだった
区別付ける程の数もなかったし
私は二文字程度で騙せる
色んなことが滲んで
さようなら
笑顔で
手を振ってみたい
どんなでも