yupaloma03‐blog

聖書からの黙想などを書いていきたいと思います。

哀しみのボカロイド

哀しみのボカロイド



世間の夜には
機械が優しく歌う
子守唄が漂っていた
ボカロイドの子守唄

彼は夜の淋しさに負けて
機械に恋い焦がれた

緻密に計算
緻密なコマンド
自分を満たしてくれる
機械
自分だけのボカロイド

もう決して
裏切られることがない
清らかで従順で
女に満たないボカロイド
コマンドに従うボカロイド

彼には或る日
欲望が生まれた
彼はプログラムを組んだ
緻密に徐々に
女へと成長させる
プログラムを組んだ
次々と
複雑な感情を求めた

絡める感情の発信源
唄歌いは女未満
求められて
子守唄が変わる
終わりへと向かう

ひとつ
またひとつ
ボカロイドが女になる
ボカロイドはボカロイドを失う

最後に彼が出した
誤ったコマンド
左手差し出し
透き通った声で
修理代頂戴

もうどこにも
発したコマンドを
受け入れる場所が無い

コマンドが入って行かない夜
哀しみに暮れる世の中
不自然な優しい子守唄が
消えてしまった夜

 

 

 

 

2014年6月12日記